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Gifu Phoenix BaseBall Club

  


  No.008                           2014/9/12更新!!
     
     Title     
    『野球界の常識を疑え』


 「先日、少年野球教室で村田兆治さんと一緒になりました。『オレが先にしゃべる』とボクを牽制した後、村田さんは小学生たちにこう言いました。『ピッチャーはトップを早く作って上から投げ下ろすんだ!』でも、続いて実際に投球を見せる時には、右肩をガクーンと思いっ切り下げてから投げてました。ボクも小学生もポカーンですよ。」
 桑田真澄センセイ(46)にかかれば、往年の大投手、マサカリ兆治も形なしだ。
 7月12日、東大駒場キャンパスの1323教室に400名を集めて開かれた身体運動科学シンポジウム。6名のスポーツ科学研究者のなか、大トリで講義したのが巨人→パイレーツを渡り歩き、今は東大大学院研究生の桑田氏である。冒頭は「野球界の常識を疑え!」と題された講義中の言葉だ。「連続写真で見ると、スゴイ投手たちは皆、体重移動の際、右肩を下げヒップファーストになっているのです。若いころ、いろんなプロの先輩に聞きました。『足を上げた後、いったん投げるほうの肩を落とさなければいけないですよね?』と。全員、『オマエはバカか。肩は落とさない。上から投げるんだ』と言います。思い切って400勝投手の金田正一さんにも聞きました。すると、『バカ野郎!肩は常に上じゃ!』。誰一人、正しいことを教えてくれませんでした」
 桑田氏は、カネやんについてもこのとおり。もちろん先の村田氏の件も含め、
「それぐらい感覚と実際の動きはかけ離れている」
 とのフォローも忘れなかったが……。
「このオフ、ダルビッシュ君とご飯を食べました。彼は体重移動時の右肩の下がりは少ない。彼はスリークォーターだからです。しかしマー君の場合、肩が下がらなくなるとヒジに負担がかかって危険だとボクは前々から言っていました」
 ヤンキースの田中将大が右ヒジの靭帯部分断裂でDL(故障者リスト)入りした。これを予期していたということのようだ。さすが桑田センセイ!
 桑田氏の講義は他の5人より10分長い40分と設定されていた。が、話はその時間を超えていく。内容は濃く、面白く、グングン聴衆を引き込む。
「王貞治さんはダウンスイングで素振りした。だから指導者は皆、『上から叩け』と言う。でも、王さんは打席ではアッパースイングでした。ダウンスイングはあくまで矯正のため。多くの指導者は間違ってとらえているんです。ボクがテレビで解説したとき、巨人の高橋由伸がホームランを打ちました。一緒に解説していた隣の名球会入りをしている大先輩が『今のは上からうまく叩きました』と言う。でもスローで見たら明らかにアッパーで打っていた。ボクは、『この先輩、頭がおかしいのかな』と思いました(笑)」
 返す刀で守備の常識も斬っていく。 「受講者がプロ野球選手の指導者講習会がありました。そこで講義したV9時代の外野手は『野球教室では、外野フライはグラブを目と目の間に入れて顔の正面で両手で捕れと教えろ。異議はないな?』と言いました。ボクは手を挙げ、『先輩、ボクは反対です。顔の正面でグラブを構えたらボールが見えないじゃないですか』と言いました。V9選手は『これは野球の基本だ。じゃあ、オマエはどうやって捕る?』と尋ねます。ボクは、『できるだけ片手で顔の横で捕ります。そのほうが簡単です』と意見しました。昔のグラブは両手でないと捕れなかった。今は道具が進化している」
 桑田氏は「だから指導者も進化しないと」と続けた。たしかに、説得力がある。結局、質疑応答含め60分の大講義。こんな指導者ばかりになれば、日本の野球は大きく変わるかもしれない。

     


                           2014年9月  週刊誌掲載記事より 

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